『子供は小さな大人ではない』と言われています。これは、人間の身体の器官や機能の成長が、大人に至るまでの過程において、非常に『時間差や個人差』があるということを表しています。すなわち、人間とはアンバランスな状態から、最終的にバランスのとれた状態になっていくのです。それでは、子供たちは各年代において、どのような特徴をもっているのでしょうか
プレ・ゴールデンエイジ(5歳~8歳頃)
サッカーの世界では、5歳~8歳頃をPre‐Gollden Age(プレ・ゴールデンエイジ)の時期と言っています。この時期の特徴として、神経系機能の発達が著しく、様々な神経回路が形成される時期ということがあげられます。したがって、その神経回路に様々な刺激を与え、その回路をさらにはりめぐらせること、すなわち、できるだけ多種多様な動きを体験させてあげる事が非常に重要となります。この時期に行なう様々な『遊び』や『運動経験』の1つ1つが、後になって必ず生きてくるのです。
ゴールデンエイジ(9歳~12歳頃)
9歳~12歳頃になると、神経系機能の発達がほぼ完成に近づき、形態的にもやや安定した時期に入ります。この時期は、Gollden Age(ゴールデンエイジ)の時期と言われており、人間の一生に一度だけ訪れる動作習得に最適な時期(即座の習得)です。そのため、子供たちの将来を考えた場合、この時期の指導は非常に重要であり、サッカーに必要な様々なスキル(判断を伴う実践的な技術)を習得させてあげることが目指されなければなりません。 また、この時期の子供たちを育む環境では『On The Pitch(指導現場)』以外の『Off The Pitch(日常生活)』においても良い習慣を身につけることが大変重要になってきます。 子供たちの将来をよく考え、何を優先させるべきか? 次の試合に勝つことばかり考えるのではなく、サッカーのあらゆる技術や日常生活における良い習慣をしっかりと身につけさせてあげましょう。 これは、我々大人に課せられた使命です。
ポスト・ゴールデンエイジ(13歳以降)
ゴールデンエイジの時期を過ぎると、今度は第二次性徴に伴う発育のスパート期を迎えます。この時期は骨格が急激に成長するため、人間が運動を行なう際の「支点・力点・作用点」に狂いを生じさせます。そのため、今まで出来ていた技術が一時的にうまくいかなくなったり、新たな技術を習得する事が困難になる場合もあります。サッカーの世界では、このようなぎこちなさのことを『Clumsy(クラムジー)』という言葉を使って表現しています。しかし、この時期は、男性ホルモンの分泌が著しくなり、速筋線維が発達するため、それまで身につけた技術をより速くより強く発揮することが可能となってきます。一時的にスランプに陥ったり、今まで目立たなかった子が急に頭角をあらわしてきたりするのも、この時期に多く見られる特徴の一つです。
このように、子供達はアンバランスな発達をしながらも、最終的にバランスのとれた状態へとなっていくため、同じトレーニング課題を与えても吸収しやすい時期としにくい時期とがあるのです。