2019/20年の競技規則改正

 JFA TV2019/2020サッカー競技規則改正について (公式動画13分29秒)※外部サイトリンク

 JFA 2019/2020サッカー競技規則 ※外部サイトリンク


日本では8月から適用され始めた2019/20年の競技規則改正。VARの導入などに影響されて、またもや大きくルールが変更されました。国際的には2019年6月1日 から適用されています。Jリーグでは2019年8月2日の第21 節から適用されており、新ルールに慣れてきた人も多いことでしょう。

しかし、草の根でサッカーをする子どもたちの試合では、まだ適用しきれていないのでは? 日本サッカー協会は、U-12となる小学生年代が主に行う8人制サッカーのルール改正適用を「遅くとも2020年4月1日」と定めており、新年度からすべての大会でルール改正が適用されることになります。

■明確化されたハンドのルール
■ゴールキックはペナルティーエリア外へ蹴り出さなくても良い
■8人制と11人制では大きく違う交代のルール
■ドロップボールは最後に触ったチームへ返す
■ペナルティーキック時のGKの立ち位置に注意
■FK時の壁で陣取り合戦は禁止
■コイントスなどにも変更あり。その他の変更点は?

 

■明確化されたハンドのルール
ハンドについては、これまで不明瞭で明快ではなく、競技者にも観戦者にも混乱と議論を巻き起こしてきました。今回の改正で、ある程度が明確になりました。そのポイントに、以下の2つが挙げられます。

①手や腕が不自然、あるいは不当な位置かどうか
②手や腕にボールが当たったことで、得点あるいは得点機会を得たかどうか

①は、”意図的”という曖昧な言葉で表現され、これまではボールのスピード、ボールまでの距離、手や腕の位置や動かした方向などの状況を判断材料にしていました。基本的な考え方に変更はありませんが、たとえ意図がなかったとしても、手や腕が肩よりも上がっている不自然な状態、手や腕を大きく広げている不当な状態だった場合に、ボールが当たればハンドと明文化されました。

②は、たとえ偶発的であってもハンドの判定となります。先に挙げた判断材料は関係なく、手や腕に当たってゴールとなった場合、手や腕に当たった直後のプレーで得点あるいは得点機会を得た場合はすべてハンドとなります。

上記の場合を除きハンドとならない状況として、当たることが避けられなかった場合が挙げられます。それは先に挙げた判断材料に沿って判定されますが、主にボールとの距離がポイントになります。もうひとつは、スライディングなどで倒れたときに体を支えるための手や腕に当たった場合です。これも不自然な位置とは考えにくいためハンドにはなりません。

 

■ゴールキックはペナルティーエリア外へ蹴り出さなくても良い
今回の改正から、ゴールキックはペナルティーエリア外へ蹴り出さなくても良くなりました。それによって、いくつかのルールが変更になっています。

①けられて明らかに動いたならばボールはインプレーとなる
②味方競技者はペナルティーエリア内でボールを受けられる
③相手競技者はキックが行われるまで、ペナルティーエリア外にいなければならない

ゴールキックおよびペナルティーエリア内でのフリーキックは、①のように改正されました。従って、②のとおり味方競技者はボールがけられたならばすぐにインプレーとなったので、ペナルティーエリアを出る必要がなくなりました。

相手競技者は③のとおり、ペナルティーエリア外にとどまっていなければなりません。相手競技者が意図的にとどまってボールを奪おうとした場合は、ゴールキックのやり直しになりますが、その相手競技者に対して警告などの罰則はありません。

また、今回の改正でゴールキックでもフリーキックと同様に、クイックスタートが認められるようになりました。ゴールキックについてはルール改正後は意図的にペナルティーエリア内にいるかどうかがポイントで、相手競技者がペナルティーエリア内にいたとしても、ボールを蹴ってインプレーにすることができます。この場合、ペナルティーエリア外へ出る時間がなく、意図せずにとどまっていた相手競技者がボールを奪いに行っても、ゴールキックはやり直しにはならず、そのままプレーは続行されるので注意が必要です。

 

■8人制と11人制では大きく違う交代のルール
交代でピッチから退く競技者は、最も近い境界線の位置からピッチの外へ出なければならないようになりました。主審が認めた場合を除けば、タッチラインであろうとゴールラインであろうと、素早くピッチ外へ出ることを義務づけられました。ただし、これは11人制に限ったルールとなります。

8人制の場合、そもそも自由な交代が認められています。その代わりに、センターライン付近にある交代ゾーンからピッチに出入りすることになっています。ですから、交代に関するルールは、8人制の場合にはこれまでどおりとなります。

ただし、GKの交代に関してのみ変更となっています。ピッチ外の競技者とGKが交代する場合は、アウトオブプレーになったときに主審に知らせ、許可を得たら退くGKは最も近い境界線からピッチ外へ出なければなりません。代わってピッチに入ってくるGKは交代ゾーンからピッチへ入ります。

また、ピッチ内にいる選手とGKのポジションを交代する場合は、これまでのルールと同じでアウトオブプレーになったときに主審に知らせ、許可を得て入れ替わります。

今回の改正では、この交代のルールが11人制と8人制で最も大きな違いとなっています。

 

■ドロップボールは最後に触ったチームへ返す
主審が手で持ったボールをピッチ上に落としてプレーを再開するドロップボールも、今回の改正で大きく変更となっています。

①ボールに対して最後に触れた選手のチームへ返す
②主審からボールを返されるひとりの競技者以外は、全員が4メートル以上離れなければならない
③ペナルティーエリア内でドロップボールとなった場合は、守備側のGKにボールは返される

なんらかの理由で、主審がインプレー中にゲームを止めた場合に行われるドロップボールは、これまでどっちのチームの競技者が先にボールに触っても、ルール上は問題ありませんでした。しかし、それでは不利益となる場合があると懸念されたため、①のようにルールが改正されました。

これまでは主審からボールが落とされる前に、その周囲に何人の競技者がいても良かったのですが、今回からはボールが返されるチームのひとりの競技者と決められ、それ以外の競技者は味方でも相手でも②のように4メートル以上離れなければなりません。

また、ドロップボールが適用される状況も追加されることになりました。これまで「審判は石と思え」と言われ、審判員にボールが当たってもプレーは続行されていましたが、これからはドロップボールとなります。審判員にボールが当たり決定機になる可能性がある場合、直接ゴールに入ってしまった場合、ボールを保持するチームが替わってしまった場合、この3つのうち、いずれかに当てはまったときに主審はゲームを止めてドロップボールを適用します。

 

■ペナルティーキック時のGKの立ち位置に注意
ペナルティーキックに関してもルールの改正がありました。大きな影響を受けるのは、主にGKとなります。

これまでGKは、ペナルティーキック時にはゴールライン上に立たなければいけませんでした。キッカーがボールを蹴るまでは、両足共にゴールライン上になくてはならず、ゴールラインよりも前方もしくは後方に立つことは認められていませんでした。

しかし今回の改正では、「少なくとも片足の一部をゴールラインに触れさせているか、ゴールラインの上に位置させていなければならない」と、変更になりました。つまり、セービングのために片足を先に踏み込めるようになったのです。片足を前に出すことを許されたのですが、そのルールに反すると警告となってしまうので注意が必要になります。

これを判定する審判員も注意が必要で、片足がゴールラインに接触していなければならないわけでなく、ゴールライン上にあればルールの範囲内となっています。つま先立ちになってカカトを浮かせている状態でも、浮いている足の部分がゴールライン上に あれば問題ありません。一見、ゴールラインより前方にいるように見えてしまいますが、審判員はしっかり確認するようにしましょう。

 

■FK時の壁で陣取り合戦は禁止
フリーキックのルールも変更になっています。フリーキックが蹴られるまで、相手競技者は9.15メートル以上離れなければいけません。8人制なら7メートル以上となっています。このルールはこれまでと変わっていません。

相手競技者はこのルールに則り、シュートコースを限定するために離れた位置に複数人で立って”壁”をつくります。これもルール上は何の問題もありません。しかし、近年ではGKの視界をさえぎろうと、味方競技者が”壁”の間に割って入ろうとして、ボールとは関係のないところで争いが起こっていました。それを防ぐために、味方競技者に対するルールが追加されました。

「守備側の競技者が”壁”をつくったとき、すべての攻撃側の競技者はボールがインプレーになるまで”壁”から1メートル(1ヤード)以上離れていなければならない」という新しいルールが加わりました。GKの視界を隠しても良いが、”壁”での陣取り合戦はやめましょうということが決まりました。

攻撃側の競技者がこのルールに違反した場合には、守備側だったチームに間接フリーキックが与えられます。せっかくのチャンスをふいにするだけではなく、ボールを相手にやすやすと渡してしまうことになるので、十分に気をつけましょう。

 

■コイントスなどにも変更あり。その他の変更点は?
その他にも、今回の改正で変更になったルールがあります。

着用するアンダーシャツの色は、ユニフォームの袖部分と同じ色や柄でも良くなりました。

それに、監督やコーチなどベンチにいるチーム役員にも、警告や退場が掲示されることになりました。指導者などで試合中にベンチに座る人は、言動や行動などに注意しましょう。

ピッチ外のルールで言えば、給水のための「飲水タイム」と体温を下げるための「クーリングブレーク」が明確化されました。

そして、キックオフを決めるコイントスでは、これまで勝ったほうが前半に攻めるゴールを決めていましたが、今回の変更では、前半に攻めるゴールか、またはキックオフを行うかを決めることになりました。


外部サイトから引用:
▼新年度から8人制にも本格適用! 新ルールをおさらいしよう!! <前編>
https://www.sakaiku.jp/column/knowledge/2020/014519.html
▼新年度から8人制にも本格適用! 新ルールをおさらいしよう!! <後編>
https://www.sakaiku.jp/column/knowledge/2020/014523.html


その他にも、チーム役員(ベンチスタッフを含む)への懲戒処置が明確化されました。


注意イエローカードまたはレッドカードになる主な反則を競技規則に規定し、チーム役員による不正行為に
対して正しくイエローカードやレッドカードを示せるようにした。

懲戒処置-チーム役員

改正後の文章
反則があり、その反則を犯した者を特定できない場合、テクニカルエリア内にいる上位のコーチが罰則を受ける。

注 意
通常、次の反則は注意となるが、繰り返しまたは露骨に行った場合、警告または退場となる:
・ リスペクトある、または対立的ではない態度で、競技のフィールドに入る。
・ 副審や第 4 の審判員の指示または要求を無視するなど、審判員に協力しない。
・ 決定に対して軽度の不満を示す(言葉や行動により)。

・ 他の反則を犯すことなく、時折テクニカルエリアから出る。


警 告(イエローカード)
警告となる反則は、次のとおりである(ただし、これらに限らない):
・ 明らかに、または繰り返して自分のチームのテクニカルエリアから出る。
・ 自分のチームのプレーの再開を遅らせる。
・ 意図的に相手チームのテクニカルエリアに入る(対立的ではなく)。
・ 言葉または行動により異議を示す、例えば:
・ ドリンクボトルやその他の物を投げる、またはける。
・ 審判員に対するリスペクトを明らかに欠いた身振りをする。皮肉な拍手など。
・ レフェリーレビューエリア(RRA)に入る。
・ 過度に、または繰り返し、レッドカードやイエローカードを示す身振りをする。
・ VAR レビューのために用いる TV シグナルを過度に示す 。
・ 挑発したり、相手の感情を刺激するような身振りや行動をする。
・ 容認できない行為を繰り返し行う(注意となる反則を繰り返すことを含む)。
・ サッカーに対してリスペクトに欠ける行為を行う。


退 場(レッドカード)
退場となる反則は、次のとおりである(ただし、これらに限らない):
・ ボールを放さない、ボールを遠くへける、競技者の動きをさえぎるなどで、相手チームのプレーの再開を遅らせる。
・ 意図的にテクニカルエリアを出て、次のことを行う:
・ 審判員に対して異議を示す、または抗議する。
・ 挑発したり、相手の感情を刺激するような態度をとる。
・ 攻撃的または対立的な態度で相手チームのテクニカルエリアに入る。
・ 競技のフィールドに物を意図的に投げ入れる、またはけり込む。
・ 競技のフィールドに入り、次のことを行う:
・ 審判員と対立する(ハーフタイムと試合終了後を含む)。
・ プレー、相手競技者、または審判員を妨害する。
・ ビデオオペレーションルーム(VOR)に入る。
・ 相手競技者、交代要員、チーム役員、審判員、観客、またはその他の人(ボールパーソン、警備員、競技会役員など)に対する身体的または攻撃的な行動をとる(つばを吐く、かみつくなど)。
・ 同じ試合の中で2つ目の警告を受ける。
・ 攻撃的な、侮辱的な、または下品な発言や身振りをする。
・ 認められていない電子機器や通信機器を使用したり、電子機器や通信機器を使用して不適切な行動をとる。
・ 乱暴な行為を犯す。


外部サイトから引用:
▼JFA 競技規則改正 2019/20(主な改正と明確化の概要)
 
https://www.jfa.jp/documents/pdf/soccer/exhibit_1920_01.pdf