現在、世界中では数多くのスポーツが行なわれていますが、その中でも最も多くの人に愛され、親しまれているスポーツは何といってもサッカー(正式名称:Association Football:アソシエーション フットボール、アソシエーション式フットボール)です。

 なぜ、サッカーはこれほどまでに世界中で熱狂的に受け入れられているのでしょうか。スポーツとしてのサッカーのルールが制定されたのは、18世紀におけるイギリスが舞台となりますが、その原型は、それをさかのぼること数世紀、洋の東西を問わず、世界各地で自然発生的に行なわれていた壮大な『遊び』の中にあります。その頃のサッカーというのは、『村』対『村』の対抗で、ルールは、「相手の村にボールを蹴りこんだら勝ち」というようなものが主流であったようです。

 今日のゴールは、村の『門』からきているもので、例えば、ドイツ語のコールキーパーは、『トアヴァルト』と言われますが、これは直訳すると、まさに『門番』という意味なのです。ボール(のようなもの)があれば、「それをみんなで相手陣地に持ち込み、相手はそれを懸命に防ぐ…」、この単純明快な『遊び』は、「人間が本来持っている欲求」から生まれたものであることが、このような事実から推察する事ができます。

 原始的サッカー(フットボール)の頃は、ボールを手で扱う事も当然で、かなり激しく野蛮な面をもっていたようです。そのため、イギリスでは何度もフットボール禁止令が出されています。このような野蛮なフットボールから、スポーツとして世界で熱狂的に受け入れられていく課程には、イギリスの存在が大きな役割を果たしています。

 スポーツとしてのサッカーが形成される舞台となったのが、イギリスのパブリックスクール(上流階級のエリート達の寄宿生名門私立学校)です。始めは、パブリックスクール(イートン校、ハロー校、ラグビー校など)ごとに、独自のルールを制定していたのですが、オックフォード、ケンブリッジといった大学に進んだ卒業生たちにとっては、どうしても統一ルールの必要性が出てきました。そこで、パブリックスクールの代表者が集まり、統一ルール制定の話合いを何度も行ない、現在のフットボールのルールが誕生したのです。 ちなみに、その話し合いの過程で、手を使う事を認めるかどうかで話し合いは決裂し、ラグビー校を中心とした『ラグビーフットボール』と『アソシエーションフットボール』とに分かれてしまいました。 その後、この統一ルールは、大英帝国の繁栄とともに、世界各国に広まったのです。 このように、フットボールは持っている元来の『激しさ』とイギリスの『紳士道(Gentleman ship)』とが融合し、『スポーツとしてのフットボール』が誕生したのです。 激しいプレーの中にも紳士であることを重んじる現在のサッカー、そして世界的に最も愛されているスポーツとしてもサッカー・…このような歴史を紐解いていくと理解できると思います。